交通事故では、多くの場合、加害者側と被害者側の双方に過失があります。被害者の過失の程度に応じて加害者の責任を減らし、交通事故の当事者間の不注意を調整した割合を過失割合といいます。過失割合に不満がある場合は、裁判で訴訟の形をとって争うことになります。
過失割合は、自動車同士の事故か、歩行者との事故かなど、交通事故の態様や類型によって一定の基準が定められ、その上で事故の状況により増減されます。過失割合は、交通事故の個別の事例に応じて変わり、訴訟になる前の段階では、被害者側と保険会社が事故の状況を踏まえて話し合い、双方が合意して初めて決まります。時々、「保険会社が勝手に決めた過失割合に納得がいかない」という声を聞きますが、保険会社が勝手に過失割合を決めることはできないので、納得がいかない場合には、安易に合意しないようにしてください。
被害者と保険会社の間で合意ができない場合は、裁判で争うことになります。裁判では、被害者側と保険会社の双方の主張と証拠から、裁判所が過失割合を決定します。被害者と保険会社の言い分に大きな差がある場合は、過失割合を巡る争いが長期化する場合もあります。過失割合が決まらないと損害賠償額も決まらないため、被害者にとっては当面の生活費にも困る恐れもあります。このような場合は、まず自賠責保険の被害者請求をするなど、早く賠償を受けとる方法を考えておくことをお勧めします。