後遺症による逸失利益は、「(基礎収入)×(労働能力喪失率)×(中間利息控除係数)」という計算で算出されます。中間利息控除係数とは、将来受け取るはずの利益を現時点で受け取ることで生じる利息分を、あらかじめ差し引いておくための割合をいいます。
逸失利益は現在から将来にかけて長期的に発生します。ところが被害者は、現時点で受け取った将来分のお金を運用して利益を上げることができるため、被害者と加害者の公平を欠く恐れがあります。そこで、将来発生するはずの利息分(中間利息)を差し引いて賠償額を計算する必要があるのです。この利息は、現在では年間5%の金利が複利が前提とされています。
ライプニッツ係数とは、この中間利息控除の方式のことです。中間利息控除係数は、労働能力喪失期間に対応するライプニッツ係数を求めた上で、労働能力喪失率に相当する収入額(喪失収入額)に掛ける方法で計算します。
ライプニッツ係数は、被害者の就労可能年齢を基に算定しますが、実務では症状固定日を基準にして、67歳(一般就労年齢)から症状固定時の年齢を引いて求めます。症状固定時に満18歳以下の被害者の場合は、症状固定時の年齢から67歳までの期間に対応するライプニッツ係数から18歳までの期間に対応するライプニッツ係数を差し引いて求めます。とはいえ、ライプニッツ係数を算出するには複雑な計算が必要なので、実務上は労働喪失期間に応じた係数の早見表が用いられています。