失業中や無職の方の場合、原則として休業損害は認められません。休業損害は、交通事故で怪我などを被って収入が減ったことが前提となるので、失業中や無職の方は休業する業務がなく、事故前後も収入がないからです。
ただし、既に内定が出ていたなど就職することが確実で、就職後に得られたはずの収入を考慮しないと被害者に酷といえるような場合は、内定企業の給与額や、賃金センサスの平均給与額などをもとに計算した休業損害を請求することができます。
また、失業中の場合でも、失業してすぐ事故に遭ったような場合で、事故前は継続して働き失業中も就職活動を行なっていたようなケースでは、「たまたま事故時は失業していたが労働意欲が高い」「いずれは就労を開始した可能性が高い」と判断され、休業損害が認められる可能性があります。
過去の裁判例で、失業中の休業損害が認められた例としては、以下のようなケースがあります。
- アルバイトを退職した翌日に事故に遭い、休職中だった被害者(26歳女性)に、退職前のアルバイト収入を基礎とする休業損害が認められたケース(大阪地判平10.1.23)
- 事故前に就職活動した会社に事故後に採用された被害者が、10日で後遺症により休職・退職に至った場合に、就労により得られていたはずの金額を基礎とする休業損害が認められたケース(名古屋地判平21.2.27)