交通事故で、症状固定の後に将来的に必要になる介護費用は、損害にあたる「将来介護費」として、加害者に請求することができます。将来介護費は、重度後遺障害で症状固定後も付添介護が必要な場合に限って認められます。具体的には、後遺障害等級で1級や2級にあたる、植物状態(遷延性意識障害)や高次脳機能障害、脊髄損傷などの場合です。
将来介護費は、交通事故に遭って怪我をした場合に請求できる付添看護費という実費の一つで、近親者が介護にあたることを損害として、金銭的に評価するものです。実際に介護してくれた近親者に報酬を支払う必要はありません。
将来介護費の目安は、医師の指示または症状の程度により必要があれば、①付添人にプロを雇った場合は、原則として実費相当額、②近親者が付き添った場合は、原則1日8000円とされています。ただし、怪我の内容や程度、被害者の年齢など、介護の状況から、金額が増減されることもあります。
また、介護の内容としては、身体的介助(入浴、食事、更衣、排泄など)に限りません。身体的解除が不要でも、障害の中心が、認知障害や人格変化などにより、看視(見守り)声掛け(指示)などが、人間らしい社会生活を送るために必要な場合は、将来介護費として認められる場合もあります。