損害賠償を請求する権利が消滅時効にかかってしまうと、請求する権利が消滅し、それ以降は請求できなくなってしまいます。そのため、時効が迫っている場合には急いで時効を中断させることが必要です。
「時効の中断」とは、これまでの時効期間をリセットすることをいいます。時効の中断をすると、再びゼロからカウントが始まります。具体的には、以下のような方法を取ることができます。
①請求
裁判所を通した相手方への請求のことをいいます。請求するだけで時効を中断することができます。具体的には、訴訟提起、支払督促の申立、和解の申立、調停の申立などです。加害者に電話や手紙で「払え」と要求しても、それは「請求」ではなく「催告」にあたり、それだけでは時効は中断しません。
②催告
裁判所を通さず、加害者や保険会社に、内容証明郵便などで「払え」と要求することをいいます。催告は一旦停止の効力がありますが、催告の時から6ヶ月の間に①の裁判上の請求をしないと、時効が完成してしまいます。また、一度催告をした後、6ヶ月以内に再び催告しても時効中断の効力は生じず、時効完成までの期間も延長されません。
③承認
加害者や保険会社に時効中断の承認を求めることをいいます。保険会社が事件解決前に保険金や仮渡金を支払ったり、示談案として損害額の計算書を出した時も「債務の一部承認」として時効が中断します。この場合は、最後の治療費の支払をしたとき、計算書の提示の時から時効期間が再スタートします。また、自賠責保険会社に申請して「時効中断承認書」をもらえば承認日に時効が中断するので、被害者請求までに時間がかかる場合は事前に申請しておくとよいでしょう。
ただし、自賠責保険会社から保険金を受領したり、「時効中断承認書」をもらっても、加害者への損害賠償請求とは別物なので、加害者側の時効は中断しないので注意しましょう。