後遺症による逸失利益は、「(基礎収入)×(労働能力喪失率)×(中間利息控除係数)」という計算で算出されます。中間利息控除係数とは、労働能力喪失期間に対応した割合のことを言います。
労働能力喪失期間とは、交通事故が原因で生じた後遺障害の影響で、事故後に労働能力を失った期間をさします。ただし、労働能力喪失期間は、亡くなるまで認められるというものではありません。症状固定した日から、一般的な就労可能年数とされる67歳までとされるのが原則です。
ただし、被害者が高齢者の場合は、症状固定から「67歳までの期間」と「平均余命の2分の1」のどちらか長い方が、労働能力喪失期間として扱われます。また、学生などの未就労者の場合は、症状固定日からではなく、原則として18歳または22歳(大学卒業を前提とする場合)を始期として算定します。
なお、裁判では、症状によって労働能力喪失期間が制限される場合があります。一般的には、むちうち症(後遺障害等級12級)の場合は5~10年、むち打ち症(14級)の場合は5年以下に制限される場合が多いようです。むち打ち症以外の軽い後遺障害の場合は、実際に労働能力喪失期間を短く制限した裁判例もありますが、比較的長期間の労働能力喪失期間が認められやすいです。