会社員が交通事故に遭い、長期的な治療が必要な場合に、残念ながら解雇されたり、退職せざるを得ない状況に陥るケースがあります。全ての場合ではありませんが、怪我が治るまで、または怪我が治った後、再就職に必要な期間の間の休業損害が認められる場合があります。
過去の裁判例で、解雇、退職後の休業損害が認められた例として、被害者が交通事故の直前に清掃会社に正式採用され、月20万円の給与と月額2万円の手当が支給されることが確実だったのに、交通事故による怪我で長期間の治療が必要になり、会社からの要請で退職せざるを得なくなったケースがあります(東京地裁H14.5.28)。
このケースでは、「昨今の雇用情勢等から、原告(被害者)のような新卒者以外の就職は簡単ではなく、怪我の治癒後すぐに再就職できるものではないので、再就職するのに必要な期間は、会社からもらえるはずだった収入を損害と認める」という判断が下されました。そして、再就職に必要な期間は、性別や年齢から考慮して治癒後3か月程度とされました。この裁判例は、退職後の休業損害に加え、治癒後の再就職に要する期間の休業損害も認めた点で特徴的です。