高齢者でも、働いている方であれば、通常の会社員(給与所得者)や経営者(事業主)と同様に逸失利益が算定されますが、定年退職して、交通事故当時に収入がない場合は、生活状況によって対応が異なります。高齢者の逸失利益は、以下のように算定されます。
高齢者の基礎収入は、就労の可能性がある場合は、原則として賃金センサス年齢別平均の賃金額を基礎として計算します。具体的には、以下のような基準を参考に基礎収入が算定されます。
- 高齢者が働いており、有職者であれば、交通事故前年度の年収額を基礎収入とする。
- 高齢者が家事労働をしていれば、学歴計女子労働者全年齢の平均賃金を基礎収入とする。
- 高齢者が無職でも、労働能力と労働意欲があり、将来の就労の可能性があれば、男女別の年齢別平均賃金を基礎収入とする。
- 高齢者が無職で、就労の可能性がない場合は、基礎収入はゼロとする。
中間利息については、労働能力喪失期間をそのまま当てはめると、きわめて短期間となるなど不都合が生じるので、症状固定時から67歳までの年数と、平均余命年数の2分の1を比べて長い方の期間を労働能力喪失期間としてライプニッツ係数を求めて算定します。ただし、様々な事情から短縮される場合もあります。