交通事故の加害者への損害賠償請求には時効があります。法律で決められた期間内に損害賠償を請求しなければ、請求する権利が消滅して、その後は請求できなくなります。これを消滅時効といいます。
法律で決められた期間とは、「被害者又はその法定代理人が損害及び加害者を知った時から三年間行使しないときは、時効によって消滅する。」(民法724条)と規定されています。ちょっと分かりにくいので、分解して見ていきましょう。
「被害者又はその法定代理人」とは、被害者本人、または、被害者が未成年者の場合の親などを言います。
「損害及び加害者を知った時」という点は、特に怪我をしたり、後遺症が残った場合に問題になり、具体的には以下のように定められています。
- 傷害による損害:症状固定日又は治癒日から3年
- 後遺障害による損害:症状固定日から3年
- 死亡による損害:死亡日から3年
- 物的損害:事故日から3年
症状固定日とは、「これ以上治療を続けても症状の改善が望めない状態」になったことを言います。事故の日からではなく、症状固定日から3年、とされている理由は、治療が終わって暫くしてから後遺症が現れる場合があるからです。後遺症が現れた時には消滅時効で損害賠償請求できない、という事態を防ぎ、怪我(傷害)に関する損害賠償も併せて請求することで被害者側の負担を減らせるように、このような規定になっています。後遺障害が残らなかったケースでも、症状固定日を治癒日としてカウントするのが一般的です。
ただし、事故の日から20年経過すると、損害賠償請求権は消滅するので注意してください(除斥期間)。