無職の中には、未就労の学生や高齢者など様々な態様がありますが、ここでは失業中、または休職中で無職の方を「無職者」として逸失利益を説明します。無職で現実の収入がない場合でも、労働能力と労働意欲があり、就労することの可能性がある場合には逸失利益が認められます。無職の方の逸失利益は、以下のように算定されます。
無職者の基礎収入は、原則として失業前の収入を参考に計算します。ただし、失業前の収入額が賃金センサスの平均賃金額を下回っているようなケースでは、将来平均賃金程度の収入を得られる可能性が高ければ、賃金センサスの平均賃金額が基礎収入として認められます。一方、将来その可能性がない場合は、平均賃金から一定額を減らした金額が基礎収入となります。
具体的には、無職者の基礎収入は、以下の3つに分けて考えます。
- ①原則として、失業前の収入を参考に算定する(労働能力・労働意欲・就労可能性がある場合)。
- ②失業前の収入が平均賃金より低く、将来平均賃金程度の収入が得られる可能性が高い場合は平均賃金を基礎収入とする。
- ③将来平均賃金程度の収入が得られる可能性がない場合は、平均賃金から減額する。