運転中の不注意で交通事故を起こした場合、被害者が怪我を負った場合は過失運転傷害罪が、被害者が亡くなった場合は過失運転致死罪が、通常は成立します(両方をあわせて「過失運転致死傷罪」と呼ぶこともあります)。
これは「自動車の運転により人を死傷させる行為等の処罰に関する法律」(通称:自動車運転死傷処罰法)に定められています(同法第5条違反)。
過失運転致死の刑罰は、法律で7年以下の懲役、7年以下の禁錮、100万円以下の罰金が定められています。通常の不注意で事故を起こした場合は上記のどれかの刑罰が科されることになります。
ただし、信号無視や大幅なスピード違反、無理な追い越しなどをした上での事故、無免許運転での事故、酒やドラッグ・薬物の影響を受けて起こした事故といった事情がある場合は、危険運転致死罪(自動車運転死傷処罰法第2条違反)にあたる場合があります。危険運転致死罪は、1年以上20年以下の懲役が法律で定められています。
自動車事故は主に自動車運転処罰法が適用されますが、自動車事故以外の交通事故では、刑法が定める業務上過失致死傷罪が問題になります(刑法211条前段)。業務上過失致死傷罪の法定刑は、1月以上5年以下の懲役もしくは禁錮、または100万円以下の罰金とされています。自転車の交通事故など、業務上過失致死傷罪にはあてはまらないけれど、通常より不注意の程度が悪質なケースなどでは、重過失致死傷罪(刑法211条後段)が適用されることもあります。