休業損害とは、交通事故で怪我をして、治癒や症状固定までの期間、働くことができなかったために生じた収入の減少のことです。休業損害の計算方法は職種等により異なりますが、会社員の場合は、事故前の収入を基礎として、怪我をして休業したことで、現実に減少した収入分を補う範囲で認められます。
一般的な実務の運用では、以下のように計算して休業補償の額を算定します。
基礎収入(3かの給与額の合計額÷90日)×休業期間
基礎収入とは、事故前の収入のことで、通常は交通事故の3か月前からの給与をいいます。実務では、勤務先に交通事故前3か月分の給与支払額を記載した「休業損害証明書」を作成してもらいます。給与が月によって大きく変動する場合は、長期間にわたる収入や前年同期の収入を基準にすることもありますが、この場合の立証は被害者側が行います。
また、現実に休業したり、給与が減ったなどの事情とは別に、怪我の程度、治療経過などから「休業期間中の労働能力制限割合」を段階的に捉えて休業損害を計算する場合もあります。例えば、症状固定日までは100%働けず休業していたのに、症状固定後の労働制限割合5%(95%は働ける)と認定されたような場合です。たった1日で労働制限が100%から5%に下がるのは不自然なので、労働能力制限割合を、段階的に下げて算定します。