遺留分とは、法定相続人(兄弟姉妹を除く)が最低限相続できる遺産の割合のことをいいます。遺留分を侵害した贈与や遺贈などは、遺留分の権利を持つ相続人が遺留分減殺請求を行った場合、遺留分を侵害する限度で効力を失います。
遺留分減殺請求をするかどうかは、相続人が自由に決めることができますが、遺留分の放棄は無制限には認められていません。遺留分の放棄は、相続開始前と相続開始後で手続きが以下のように異なります。
相続開始前の遺留分放棄
相続開始前の遺留分放棄は、自由にはできず、家庭裁判所の許可が必要です。なぜなら、無制限に遺留分の放棄を認めると、被相続人や他の相続人が脅すなどして、遺留分の放棄を強要されるおそれがあるからです。
具体的な手続きとしては、被相続人の住所地の家庭裁判所に、被相続人の戸籍謄本(全部事項証明書)、申立人の戸籍謄本(全部事項証明書)と、収入印紙800円と連絡用の切手を添えて申し立てを行います。東京家庭裁判所の場合、特段の事情がなければ、遺留分相当額程度の財産を贈与されるなどしていないと、遺留分の事前放棄を許可しないようです。
相続開始後の遺留分放棄
相続開始後の遺留分の放棄は、家庭裁判所の許可なく行うことができます。