相続人が複数いる場合は、遺産の分け方を相続人で話し合う必要があります。この話し合いを遺産分割協議といい、相続人全員が同意して遺産分割協議書を作成しなければいけません。
遺産分割協議を行う際には、それに先立って故人(被相続人)の法定相続人の範囲を調べる必要があります。法定相続人になる人は法律で決められています。配偶者は常に相続人になりますが、被相続人の子ども(民法第887条第1項)、子どもが先に亡くなり孫がいる場合は孫(同条第2項)が第一順位の相続人になります。子どもや孫がいない場合は親などの直系尊属(民法第888条第1項第1号)、直系尊属がいなければ兄弟姉妹(同項第2号)の順番で相続します。
相続人の範囲を調べるには、被相続人が死亡した記載がある戸籍事項証明書を取り寄せ、そこから被相続人の出生まで、過去の戸籍を集めて行います。戸籍の記録は、最後に亡くなった住所とは関係ない市区町村役場から取り寄せることもあるため、弁護士などの専門家に任せる方が安心です。相続人が全員判明したら、未成年者や認知症の人がいないか確認し、いる場合には代理人や後見人を立てることが必要です。
法定相続人全員が、遺産分割協議に参加できる状態になって初めて遺産分割協議が始められます。その合意の内容は書面にして、各法定相続人が署名し実印を押すことになります。遺産分割協議書は、不動産の名義を変える相続登記の際も提出が求められます。なお、遺産分割協議書は相続人全員が同席して作る必要はなく、一人ずつに持ち回りで署名押印しても構いません。遺産の一部だけの遺産分割協議も有効なので、一部の不動産や預貯金だけ分割することも可能です。