本妻の子どものように、婚姻関係にある夫婦から生まれた子どもを「嫡出子」、愛人の子どものように、婚姻関係にない男女間から生まれた子どもを「非嫡出子」と言います。婚姻関係にない男女の間の子どもで、父親に認知をされていない場合は、嫡出子・非嫡出子のどちらにもあたらず、相続することはできません。
日本では、法定相続人が相続できる財産の範囲は法律で規定されています。民法という法律では「嫡出でない子の相続分は、嫡出である子の相続分の2分の1」とする規定があり、従来はこの規定に基づいて、非嫡出子の法定相続分は嫡出子の半分とされていました(民法900条4号ただし書)。
しかし、平成25年に行われた裁判で、この民法の規定が、法の下の平等を定めた憲法14条1項に違反し、無効であるという決定が出されました(平成25年9月4日最高裁判所大法廷)。最高裁判所の大法廷で、裁判官15人が話し合って出した結論は、法律を変えるほどの大きな力を持っています。そのため、この裁判によって、嫡出子と非嫡出子の法定相続分は同じになることになりました。従って、本妻の子どもと愛人の子どもの相続分は同じになります。
ただし、上記の裁判の違憲判断は、裁判や調停によって既に確定している遺産分割には影響しません。既に非嫡出子として嫡出子の2分の1の法定相続分で相続した財産については、さかのぼって嫡出子と同じ相続分に変更することはできません。