相続とは、故人が亡くなったことなどをきっかけに、故人の財産上の地位を相続人が受け継ぐことを言います。死亡して相続される側の人を被相続人、生きていて相続する側の人を相続人といいます。民法では、相続が発生すると「相続人は、相続開始の時から、被相続人の財産に属した一切の権利義務を承継する」と規定されています(民法896条)。
相続の方法は、以下の3つの種類があります。
①単純承認
被相続人の全財産を相続する方法です。故人に多額の借金があるなど特別な事情がない場合は、単純承認の相続を行う方がほとんどです。
②相続放棄
被相続人の全財産を放棄して相続しない方法です。故人に多額の借金があり、残された財産で借金を返済してもまだマイナスが残るような場合は、相続放棄をする方がメリットが多い場合があります。相続放棄は、他に相続人がいる場合でも、相続人一人で申し立てることができます。ただし、自己のために相続の開始があったことを知った時から3か月以内に、家庭裁判所に相続放棄の申し立てをする必要があります。
③限定承認
被相続人の財産がプラスかマイナスか分からない場合に、家庭裁判所に申し立てを行い、プラスの財産(不動産や預金など)から、マイナスの財産(借金など)を差し引いて、プラスの財産が残った場合に限り、残った財産を相続する方法です。限定承認は、故人の全財産を調べてから行うので、他に相続人がいる場合は、相続人全員の同意が必要です。限定承認は、自己のために相続の開始があったことを知った時から3か月以内に、家庭裁判所に申し立てを行わなければなりません。