法定相続人がいない、法定相続人がいるはずだが見つからない、といった場合は、関係者や検察官が裁判所に管理人選任の申立を行うことで、家庭裁判所が「相続財産管理人」を選任します。
管理人選任の申立ての際には、裁判所に予納金を払う必要があります。予納金の金額は、裁判所や相続の内容によって異なりますが、50~100万円が相場とされています。ただし、故人が遺した遺産の中にその程度の預金があれば、予納金は不要です。
家庭裁判所では、2か月ほどかけて相続人捜索の公告を行います。それでも誰も現れない場合は、相続財産管理人が、さらに2か月以上の期間を定めて、債権者(被相続人に借金がある場合の貸主)や受遺者(遺言書がある場合)に、請求申出の公告をします。その後、3回目の公告をして6カ月以上の期間を定めて、受け継ぐ者の不在を確定させます。
相続人の不在が確定すると、実際に存在していた相続人や、管理人が見つけることのできなかった債権者や受遺者は、相続する権利を失います。その後、被相続人と生計を共にしたり療養看護に努めたなどの特別縁故者が家庭裁判所に申立てをすることで、財産の全部または一部を貰うことができます。
相続人、債権者、受遺者、特別縁故者のいずれもいない場合は、被相続人の財産は国庫に帰属することになります。