故人(被相続人)に借金がある場合、借金も相続財産となるため、相続人は相続しなければなりません。
相続しなければならない債務の内容としては、金融機関や親族・友人からの借入金、家賃や管理費の滞納や税金の滞納、医療費の未払金、個人事業主の場合の買掛金などがあります。つまり、雇用契約上の労務の提供義務や芸術品を仕上げる債務などの、被相続人しか行えない例外的な場合を除いた債務が相続の対象となります。
被相続人が他人の借金の保証人になっていた場合は、通常の保証債務は相続の対象になります。ただし、身元保証や包括的信用保証債務などは、被相続人の一身専属的な債務なので相続されません。継続的取引による債務の連帯保証は、被相続人死亡後の債務については相続しませんが、被相続人の生前に生じた債務については相続人が支払わなくてはいけません。
借金の額が多く、プラスの財産と比べた時にマイナスの方が多い場合は、相続放棄をすることによって、借金を相続しなくて済むようにすることができます。相続放棄をするということは、プラスの財産を受け継がない代わりに、借金も一切受け継がないということです。相続放棄をすると、代襲相続の権利も放棄することになるので、被相続人の借金を、自分の子どもにまで引き継がせないというメリットがあります。ただし、残った財産を相続できないという点と表裏一体なので、相続放棄を検討する場合は、専門家である弁護士に相談することをお勧めします。