相続は、故人(被相続人)が死亡した時から始まります。相続が開始すると、まず相続人の調査を行い、相続人を確定させます。次に相続財産の調査を行い、さらに遺言書の有無を調査します。その後の流れは、遺言がある場合と、遺言がない場合で異なります。
以下では、遺言がある場合とない場合に分けて、それぞれの相続の流れを解説します。
①遺言がない場合
相続人の調査をして、確定した相続人が複数いる場合は、相続人の間で遺産分割協議を行います。遺産分割協議がまとまれば、遺産分割協議書を作成し遺産分割を行います。相続人がいない場合には、相続財産管理人が選任されます。
②遺言がある場合
遺言がある場合は、まず、家庭裁判所に遺言書の検認を請求し、遺言書が有効かどうかを判断してもらいます。遺言書が有効な場合は、遺言執行者を選任して、遺言書に従って遺産分割を行います。
遺産の分け方は、法律で相続分が決められていますが(法定相続)、遺言がある場合には、法定相続よりも遺言の内容が優先します。ただし、相続人全員が同意すれば、遺言の内容に反する遺産分割協議も有効になります。また、遺言の内容が相続人の遺留分(最低限もらえる相続分)を侵害しているような場合は、遺留分減殺請求を行うこともできます。
不動産など、分割が難しい相続財産がある場合は、遺産分割協議で話し合いを行い、相続人の1人がその不動産を相続し、他の相続人には相続分に見合う価格を支払うことで解決する方法もあります(価格弁償の方法)。不動産の登記を行うためには、相続人全員で遺産分割協議を行って作成した遺産分割協議書が必要です。