法定相続人に相続をさせないために、生前にできることは3つあります。それぞれメリットとデメリットがあります。
①遺言を作成する
相続させたい相続人だけに相続させる内容の遺言を作成しておくことで、素行不良で相続させたくない子どもに相続させないことができます。遺言書の隠匿や改ざんを防ぐために、公正証書遺言にしておくとよいでしょう。ただし、遺言で相続させない旨を書いたとしても、遺留分減殺請求を行うことが考えられます。
②廃除する
相続させたくない子どもを廃除することで、相続させないことができます。廃除とは、被相続人に対して、兄弟姉妹以外の推定相続人が虐待や酷い侮蔑をしたり、著しい非行行為がある場合に、相続する権利を剥奪する手続きのことです。廃除をするには、家庭裁判所で審判をする必要があります。また、相続させたくない子どもの行為がもっと悪質で、相続人欠格事由にあたる場合(遺言書を偽造・変造・破棄・隠匿したり、騙したり脅迫して遺言をさせたり、被相続人を殺すなどした場合)は、相続人から除外することができます。
③相続財産を減らしておく
相続させたくない子どもがそもそも相続する財産がないように、あらかじめ相続財産を減らしておくことが考えられます。ただし、推定相続人(子どもと一緒に相続人になる配偶者や別の子ども)に生前贈与をすると、後々特別受益として相続させたくない子どもに財産が戻るおそれがあります。この事態を避けるには、推定相続人ではない人に生前贈与をする必要があります。
どの方法を取るにしても、事前に遺留分の計算や、推定相続人の調査、また裁判所でのやりとりなど、複雑な手続きが必要になります。特に廃除や相続欠格を主張する場合は、必要な書類も多くなりますので、専門家である弁護士にご相談されることをお勧めします。